工藤聡生
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。
税金を払っている会社ほど金をもっている
『税金をたくさん払っている会社ほど、たくさん金をもっている』
これは、わたしが長く会計士をやって得た感想です。
この感想は、開業している仲間の会計士や税理士からもよく聞きます。
優良な顧客を抱えている税理士は、ほぼこの感想を持っています。
さらにもっと言うと、
節税をせずに、税金を無頓着に払う会社ほど、たくさんお金をもっている。
ということもできます。
当事務所は、IPOも支援しています。
いままで10社以上、支援しました。
IPOを成功させた会社の社長は、ほぼ全員、このカテゴリーに入ります。
当期利益を大きくみせないIPOできないからだろうと言われるかたがいますが、それ以前の問題です。
IPOさせるまで会社を大きくした会社の社長のほとんどは、IPOにいたるまでの過程で、節税に対する関心を失っています。
利益を極大化する方へ関心が集中するのです。
利益の増大に比例して、その結果として比例的に発生する税金については、どうしようもないものと諦念が生まれるのです。
税金を払うぐらいならと、保険にはいったり、飲食に使ってしまえというのが、普通の社長感覚ですが、その意識がなくなるのです。
『会社を大きくしたい』
『そのために、利益をとにかく増やそう』
『だったら、そのために、あらゆる手段をとる』
サービス、製品を改善して、競合に打ち勝つためにつぎからつぎへ戦略を修正していく。
利益が出てきたら、それをもとに、次の投資をしてさらに利益を大きくしていく。
その思考プロセスが純化してくると、税金対策なんてどうでもよくなってくるのです。
税金対策なんて、できてもだいたいは、繰り延べに過ぎない。
やっても結局は効果はほとんどない。
そんなことに意識を使うなら、もっと大切なことに知恵を絞りたい。
そう感じるようになっていきます。
さらに、節税対策は、資金が必要です。
生命保険や税額控除等が典型です。
そんなことに資金を使うなら、ビジネスを強化するために使いたい。
資金を投下するだけ無駄だとも考えるようになります。
利益を拡大させ、たくさんお金を残す社長の発想からは、自然と、節税という意識がなくなってくるのです。
節税意識がなくなると、利益の極大化へさらに集中力が増します。
より、利益を意識して、意思の力がそこだけに注ぎ込まれます。
結果として、利益はさらに増大します。
税金が高いといっても、残るキャッシュの方が多きいのです。
余計なことを考えずに利益増大に徹する会社は、より大きな内部留保を残せるのです。
『節税をすてて税金をどんどん払う会社ほど、お金をもっている。』
論理的に説明するのが意外と難しいので、口に出して言う税理士や会計士は少ないのですが、幾多の会社の決算書、帳簿を見てきた、多くの会計プロフェッショナルの正直な感想です。
general