工藤聡生
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。
会社の戦略はどうすれば、現場に落とし込めるか?
戦略を立てずに戦いに勝利することができません。
また、すぐれた戦略があっても、戦略通りに部隊が動いているかをチェックしなければ、すぐれた戦略をもってしても戦いには絶対に勝てません。
戦略を実行に移せないからです。
戦略を持たない経営者はまずいません。
みなさん、それなりの戦略はお持ちです。
ただ、ほとんどの方は、戦略がまちがっているのではなく、戦略を実行できずに失敗しています。
すぐれた戦略をもっていても、戦略どおりにビジネスが動いているかチェックできていないのです。
こういった経営者は、戦略どおりにビジネスを動かせないので、利益を出すことができません。
戦略を実行に移すためには、予算管理と言われる経営管理手法を実践しなければなりません。
予算とは、会社の戦略そのものです。
何をいくらでいくつ仕入れ、いくらで売るか。
人を何人雇うのか。
いかなるセールスルートを利用するのか。
どのような媒体で広告宣伝を行うか。
どの場所で事業を遂行するか。
結果として利益をいくら確保できるのか。
これらの会社の基本戦略は、予算という形で数値化できます。
戦略が忠実に実行されているかどうかは、予算と毎月の決算数値とを見比べることにより、確認できます。
社長の戦略通りに会社が経営されていれば、予算に近い月次決算数値となるはずです。
戦略からずれたら、予算と実績値に大きな差異が生じます。
例えば、戦略どおりにものが売れなければ、売上は予算を下回ります。
戦略どおりの価格や商品構成で売れなければ、予算よりも利益率が低くなります。
人が、戦略で想定した業務フローどおりに働かなければ、人件費は予算値を上回るでしょう。
予算との間に差異が生じたら、すぐにその内容を分析して対策を講ずれば、会社は戦略の軌道に戻ることができます。
売上や利益は、戦略通りに上向くはずです。
予算とは、戦略を実行に移すための強力なツールなのです。
予算は、また、社長の戦略を各部門へ伝達する強力なツールでもあります。
例をあげましょう。
営業部門には、売上予算という形で会社の戦略を落としこむことができます。
営業予算はさらに営業マン一人ひとりに展開が可能なので、戦略は、個人にまで細分化して、モニターできます。
管理部門などのコストセンターは、管理部門予算などの費用予算で戦略を落としこむことができます。
『この費用総額のなかでこれだけの仕事をやってくれ』と指示をするのです。
いくつか事業部があるなら、事業部ごとに利益計画と言われる予算を作らせます。
事業部が戦略からずれたことをすれば、利益計画と実際の利益にずれが生じますので、すぐに軌道修正を求めることができます。
責任者が、戦略からずれたことをやれば、責任者が与えられいる予算と実績の間に差異が生じます。
この差異を分析し、対策を講じることにより、戦略に沿った経営を実現できるのです。
予算は、戦略を各部門へ落とし込む強力なツールでもあります。
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