成り行き経営ではなく、ダントツ経営を実現しましょう

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

ベンチャー企業は、危機感をもって、思い切った戦略をとるべきです。
でなければ、辛い経営が続くことになります。
ダントツの製品やサービスを目指してください。
信じられないぐらいに安いか、驚くほど良い商品を提供しなければ、生き残れないと思ってください。

的を絞る

『良いものを安売りしたら、赤字にならないの?中小企業にそんな体力はないよ』と思われるかもしれません。
たしかに、その通りです。
漫然と良い商品を安く販売していたら、大赤字になります。
ですので、商品やサービスを絞る必要があります。
商品を絞って、生産の習熟度をあげてください
特定の商品を選択して、集中し、生産方法を標準化、効率化するのです。
商品でもサービスでも、ひとつに絞って習熟効果を上げることによって、生産性を飛躍的に上げ、コストダウンをすることができます。

あるいは、魅力的な商品開発にチャレンジしてください。
商品やサービスをしぼれば、中小企業でも十分に商品開発は可能です。
商品を絞れば、その商品に関する特殊な知識が集積し、いままで市場になかった商品を作り出すことができるようになります。
 小資本であったとしても、商品やサービスを絞り込むことによって、ダントツの商品を作り出すことは、可能です。

たとえば、家具全体の市場を相手にしていたらニトリに勝つことは不可能ですが、チーク材の家具だけに的を絞れば、創業したての会社でも、ニトリよりもはるかに幅広い品ぞろえを提供することができます。
さらに、チーク材家具に関するさまざまな知識が蓄積し、ニトリが絶対に思いつかないような魅力的な商品を作ることができるようになります。
中小企業でもダントツの商品は、開発できるのです。
的を絞れば、いままでにない効率的な生産方法や、魅力的な商品に気づく可能性が生まれます。
すなわちイノベーションが生まれやくなるのです。
イノベーションこそが、競争にかつ本質です
的を絞ることは、イノベーションをもたらすのです。

的を絞る効果は、ほかにもあります。
顧客を絞るということは、ニーズを絞るということです。
顧客の声は、聞き取りやすくなるはずです
その声に耳を傾けてください。
顧客のニーズが適格にわかれば、商品・サービスの不要部分のカットや、魅力的な商品開発に繋がります。
大手や競合が見過ごしている点に気づくはずです。

創業する方は、強い思いを持っています。
ときとしてその強い思いが、顧客の声の聞き取りのじゃまをすることがあります。
謙虚に耳を傾けて、顧客が本当に望んでいる製品を目指してください。
あなたが良いと思い込んでいる製品やサービスでなく、お客が良いと思っている製品やサービスを作り出してください。

人の育成の重要性

コストダウンや商品開発の基礎は、人の育成です。
人の育成なしにコストダウンや、付加価値のある商品開発はできません。
しかし、ベンチャーに優秀な経験者は来ません。
かといって諦めるわけにはいきません。
未経験者を育成することによって習熟度をあげるしかないのです。
わずかでも習熟すれば、生産性はあがり、結果として必ずコストはダウンします。
生産性がわずかにあがれば、利益もわずかですが、確実に改善します。
人が習熟してくれば、さまざまなアイディアが生まれます。
人の数だけ、視点は、異なります。
その方たちが、経験を積めば、さまざま商品アイディアを出してくれるようになり、
商品をレベルアップしていくことができます。

育成といっても、座学でお勉強をさせるわけではありません。
現場での教育です。
現場で経験させ、失敗させ、発言させて、アイディアを出させるのです。

育成とは、上からの一方的な情報伝達ではありません。
社員に、考えて行動する習慣を身につけさせてください。
考えさせるのです。
一方的に怒鳴るのではなく、まず、耳を傾け、考えを引き出し、育てるという意識をもって指導してください。
育成は、経営者の忍耐力が問われる作業です。

育成の効果は、そもそも、そう簡単には現れるものではありません。
ただ、半年もすれば、行動に、多少は変化が現れます。
2年、3年すれば、良いアイディアをたまには、出してくれるようになります。
それを拾い上げて実行するのは、経営者の力量です。
ちょっとしたアイディアであっても、それが蓄積していけば、コストダウンや新商品に繋がり、ダントツ企業を生み出すことができます。

また、動機づけを維持してあげなければ、人は育ちません。
育成する間もなく、会社を辞めてしまうでしょう。
ところで、人の動機付けを上げ、定着させるには、何が大切だと思いますか?
中小企業は、大企業のように高い給料は払えません。
ただ、人は、お金だけを求めているわけではありません。
社会や会社とのつながりを求めています。
社員を大切にするというメッセージを送り続けることが、大切です。

  • 会社が、社会に役立つ製品やサービスを目指していること
  • 公正なルールに基づき会社運営をすること。
  • 利益は公平に社員へ還元すること

大企業のように、高い給料が払えないのに、大企業のような利益優先の考えをしていて、社員が定着しますか?
社員にとって、大企業より魅力的な職場にするためには、よい雰囲気の会社にするしかないのです。

経営の要点

生き残りたければ、ダントツの商品を売ってください。
信じられないほど安くて、あっと驚くような良い商品を売るのです。
そのためには、コストダウンや新たな商品開発を図る必要があります。
それを実現するためには、市場を絞り、戦力を集中することです。
そうすれば、イノベーションが生まれます。

強い製品やサービスをつくるためには、人を育成し、市場や商品に習熟させる必要があります。
人を育成するには、人が辞めない会社にしなければなりません。
人が勤め続けたいと思う会社は、社会に貢献し、公正に運営され、利益を社員に還元してくれる会社です

成り行き経営の弊害

多くの企業が順番を間違えています。
なりゆきでなんとなく経営する。
集中化戦略を具体化できない。
売上が伸び悩む。
社員のせいにして怒鳴る。
赤字になりそうだから、社員の賞与を削ったり、リストラしたりする。
社員がやめていく。
ますます、会社が萎んでいく。

難しいことですが、正しい順番で経営を考えられることをお勧めいたします。
『社員がわくわくするような企業目標を持つ⇒人の動機付けを重んじて定着させる⇒ターゲットを絞り、イノベーションを起こし、差別化された製品、サービスを目指す』
これが正しい順番です。
でないと、とても苦しい状況にどんどん追い込まれることになってしまいます。
萎んでいく会社の経営者は、とても惨めでつらいものです。
ぜひ、そういった状況は避けてください。

general

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