銀行からの融資力は、提供する情報提供量に比例する

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

銀行が苦手な経営者は、ほっておくと、銀行を恐れるあまりに、銀行マンと連絡をとろうとしません。
銀行への情報提供もおざなりです。
せかされてしかたなく決算書をぽんとわたして、ろくに説明をしようとしません。
いろいろな理由はあるでしょう。「下手なことを言って貸してもらえなくなるのではないか!?」「銀行マンがなにを考えているのかわからない。」「数字の説明のしかたがわかない。」
しかし、いずれにしても、銀行を恐れて情報提供を渋るのは大きな誤りです。
なぜなら、銀行融資に成功する確率は、提供する情報の量に比例するからです。

決算書の提出を例にとっても、単に渡すだけではだめです。必ず、概況を説明する必要があります。今期と前期の決算を比較して、数値の変化の背景を理解してもらうのです。とくに赤字のときにはそれが一過性であることを文章にまとめて手渡しする必要があります。
そのほかにも、銀行マンには以下の情報は必ず提供しなければなりません。

  • 月次決算を提出して最新の業績について理解してもらう。
  • 資金繰り表を提出して、会社の資金の流れを理解してもらう。
  • 経営計画を提出して将来の収益力がしっかりとしていることを理解してもらう。
  • 技術力、販売力、市場動向、会社の沿革、会社資産の含み益、経営者の財産目録について資料を提出して会社に安定した経営力があることを理解してもらう。

情報提供量が増えれば増えるほど、銀行マンは、こちらの味方になってくれます。
情報を得られれば得られるほどに、銀行マンは、資金使途や返済能力を理解して、貸せるシナリオを描きややすくなるのです。
銀行マンは、新規融資や融資増加額で評価されています。かれらは、本当は貸したいのです。
情報提供が融資審査の際にプラスになるのは、知れば知るほどに好感を持ちやすくなるという人間の習性にも起因しているでしょう。
「担保もなしによくこれだけ融資してくれたな!」という印象を持つ会社は、例外なく、情報提供をきちっと行っています。
ただ、なんでも情報を提供すればよいというものではありません。大物然としてとりとめもない自慢話ばかりしていても、銀行マンを遠ざけるだけです。新規事業の夢物語をしゃべり続けても銀行マンには聞き流されるだけです。自慢話や夢物語は、融資決裁の稟議書には使えないので、融資にはつながりません。会社の現状について客観的な情報を濃密に提供しなければ効果はありません。

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