リスケのメリットとデメリット

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

リスケとは、借入条件の変更を意味します。
資金繰りが苦しくなった会社が、借入金の返済額を減額してもらうことです。
リスケのメリットは、借入金の返済額を減らすことができることです。
その分だけ、資金繰りが楽になります。
リスケをしているかぎりは、銀行は、法的な回収手段はとらずに回収をまってくれます。
ただ、永遠に待ってくれるわけではありません。時間的猶予をもらったにすぎません。

リスケの期間は、最長でも1年です。
1年たったら、リスケ期間を更新してもらわなければなりません。
ただ、経営改善計画のすくなくとも80%をクリアしていなければ延長はしてくれません。
サービサーに債権を売却してしまいます。
サービサーは、銀行とは違って法的手段を躊躇しません。
あくまで、リスケは経営改善のためにわずかな時間を与えられたに過ぎないのです。

リスケのデメリットは、リスケが終わるまでは、新規融資はしてもらえないことです。
資金繰りにつまっても銀行はお金を貸してくれません。
経常的なキャッシュフローがマイナスだと、資金繰りに詰まってつぶれてしまうので、リスケをする会社は、営業キャッシュフローを早急にプラスにする経営努力が必要です。
役員報酬のカット、リストラを短期間に果断に実行しなければ会社は、破綻してしまいます。

また信用リスクもあります。
リスケをしていることがばれると信用が失墜します。仕入先は、取引を停止して、従業員は退社してしまうかもしれません。
ですから、リスケをしていることは、極秘に進めなければなりません。
リスケをしていることが、漏洩するのは、社内からです。銀行マンは厳しい守秘義務を負わされており、教育が徹底しているので、機密をもらすことはありません。

リスケをする際には、社長自ら銀行を回り、頭を下げて、いままでの経営の過失を認めなければなりません。そのストレスは相当なものです。覚悟のない社長にはリスケは無理です。
リスケした場合には、会社は、経営を抜本的に変えなければ生き残れません。
月次決算書を毎月しっかりとみて、会計を重視した経営をしなければならなくなります。人の生産性や、原価・経費を厳しくチェックし、在庫をしっかりと管理しなければなりません。
経営の体質を抜本的に変更しなければ生き残れないことは、デメリットであると同時に、メリットでもあります。
経営を変えられなければ、銀行は強行手段をとり、会社はさらに厳しい状況に追い込まれますが、変えることができれば、それはメリットとして永遠に享受することができます。

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