赤字になったときの銀行対策

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

赤字になると多くの場合は、銀行から評価を下げられ、新規借り入れが難しくなります。
ただし、赤字であっても、次のような場合には、評価を下げられません。

  • 一過性の赤字の場合 固定資産の売却損、滞留在庫の処理、役員退職金、リストラクチャリングコストなどの一時的な要因で赤字となり、翌期以降は黒字化できること 
  • 創業赤字の場合 設立からまだ5年以内であり、当初から合理的な事業計画で赤字が計画されており、概ね5年以内に黒字化すると見込まれること。
    かつ売上、利益の実績がともに計画の7割を達成していること
  • 返済能力がある 会社に十分な余剰資金や売却可能資産があり、債務返済能力に問題がない。あるいは、経営者に十分な資産があり、債務弁済に問題がないこと。

いずれかの状況に想定することを納得してもらえば、赤字企業でも正常先と分類されます。
ただ、一過性の赤字であるのか、恒常的な赤字であるのか、多くの場合、あいまいです。
銀行はむろん、恒常的な赤字原因があるのではないかと危惧します。
こういった場合には、経営計画を作って積極的に赤字が一過性であることをアピールするべきです。
経営計画に説得力があれば、一過性の赤字であることを納得してもらえます。

口頭でいくら説明しても、銀行にはなかなか通じません。
来年は黒字になるとか、債務弁済能力に問題がないというメッセージは、担当者を介しての言葉の伝聞では、銀行の審査まではなかなか伝わらないのです。
経営計画ならストレートに会社の詳細な状況が審査担当者に理解してもらえます。

よい経営計画をつくるこつは、商品別、顧客別、地域別にビジネスを分析して、自社の強みを数値的に分析することです。
会社は、どこかに強みがあるはずです。
売れている商品、利益がでている顧客、利益の出ている部門があるはずです。
その強い部分がいまだに健全に利益を出しており、次の年度は会社を黒字にすることを数値的に立証するのです。
場合によっては、資産売却も計画して、キャッシュフローが十分にまわることをアピールする必要があります。

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