交際費課税を回避する方法をご紹介します

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政治経済学部卒、公認会計士・税理士。

謝礼金を情報提供料として経費処理する

不動産仲介業者や人材紹介業者など、情報提供を業としている者に対する支払は、情報提供料としてその全額が、損金となります。
一方、情報提供等を行うことを業としていない相手から、お客を紹介してもらい、その相手に謝礼金を支払ったような場合は、そのままでは、交際費扱いになってしまいます。
ただし、次の三つの条件がそろっていれば、損金として認められます。

  • 支払った対価があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
  • 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
  • 対価がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。

ただし、取引をする相手方の従業員に対して支払をする場合には、交際費とされます。
従業員からの紹介は、職務上、その従業員が当然に行うべき業務とみなされるからです。
たとえば、仕入担当社員が、自分の勤め先A社をB社に紹介して、B社から紹介料を受取った場合には、B社の支払は、交際費等となります。

忘年会、新年会、歓送迎会、親睦会、慰安会

会社の負担額は、原則として福利厚生費になります。
通常に行われている社内行事だからです。
ただし、全員参加が原則です。
特定の人だけで実施する場合には、給与あるいは交際費となります。
ただ、結果的に参加しなかった従業員が、ある程度いても問題はありません。
大きい会社なら部署ごとに行ってもかまいません。
また、参加が自由な2次会も、給与あるいは交際費です。
豪華すぎる飲食は、交際費となります。
親睦会や慰安会は、開催頻度が高すぎると、給与や交際費となりますので、注意してください。
月1回ぐらいが限度でしょう。

得意先との旅行費用を経費処理する

国内外の旅行費用は、業務上必要であれば、交際費ではなく、当然に経費となります。
ただ、その出張の目的は、明確に説明できるようにしておく必要があります。

とくに海外旅行の場合には、税調で目をつけられます。
商談であれば、予定している契約の具体的な内容を説明できるようにしておいてください。
展示会であれば、展示商品に関する資料をとっておきましょう。
視察であれば、視察対象を明確にしましょう。たとえば、

  • 製造業であれば、海外工場の視察
  • 小売業であれば海外店舗の視察
  • 不動産業であれば海外不動産の視察

資料の整備も大切です。
資料とは、スケジュール表や写真です。
スケジュール表は、詳細なものほどベターです。
時間単位に記述するようにしてください。
訪問した場所の写真は、数枚は、撮影しておきましょう。
写真は、出張目的の説得力を増してくれるので、必ず、撮影するようにしてください。
海外出張に配偶者を同伴する場合には、次のどちらかの当てはまる場合には、経費処理ができます。

  • 国際会議に出席するために、奥様の同伴が必要な場合
  • 通訳(親族でもOK)が必要な場合

海外出張が、観光旅行も兼ねている場合は、全額は経費で落とせません。
観光旅行と業務の割合を計算して、業務の割合に応じてしか、経費にすることはできません。
経費として認められない支出は、給与とされます。
ただ、業務の割合が50%以上であれば、往復の旅費は経費で落ちます。
海外旅費では、往復旅費の占める割合が高いので、すくなくとも、業務の割合が50%以上であることを示せれば、かなりの部分を経費で落とすことができます。

一人当り5千円までなら、取引先との飲食費を全額経費にできます

取引先との飲食費でも1人当たり5,000円以下であれば、交際費ではなく、全額経費として認められます。
この規定を使うためには、次の事項を記載した書類を保存しておく必要があります。

  • その飲食等があった日
  • 接待の相手の氏名(名称)及びその関係
  • 参加した人数
  • 金額、店の名前及び所在地等

(1)と(4)は、領収書で把握することができますので、それ以外の事項を領収書の裏面にでもその都度、記録しておけば、問題ありません。幅広く活用されている規定ですが、いくつか、間違いやすいポイントがあります。

  • 2次会もOK はしごをしても、それぞれの店で1人5千以下であれば交際費課税されません。
  • 社内飲食費はダメ 自社の役員や従業員だけの社内飲食は、除かれます。社外の得意先等が1人でも参加する必要があります。
  • 得意先へのお中元、贈答品、手土産等は対象外 飲食費ではないからです。
  • 1人5,000円を超えたら全額、交際費 1人5,000円を超えてしまうと、全額が交際費課税の対象となってしまいます。例えば1人6,000円であれば、5,000円を超えた1,000円だけが交際費となるということではありません。その全額が、交際費として取り扱われます。

会議に伴う社外飲食費を経費処理する

上記の5,000円基準の影響で、1人当たり5,000円以下の社外飲食費を会議費として計上し、5,000円を超えた場合には、交際費として処理している会社が少なくなりません。
この処理は正しいとは言えません。
1人当り5,000円以下であれば確かに会議費でかまいませんが、5,000円を超えていても、会議費の実態があれば、会議費でかまいません。
重要な商談のために高級ホテル等で会議をすれば、1人当たり5,000円以上かかることはあるはずです。
そもそも税調の現場で、少額の飲食代に関して、会議費か交際費かでもめることはまずありません。
税務調査官にとっても、労多くして収穫の少ない議論なのです。
過度に保守的にならずに、1人当たり5,000円を超えていても、会議に一般的に必要な飲食代であれば、会議費として処理してください。

使途秘匿金や費途不明金は作らないようにしましょう

相手先を明かせない交際費は、通常の交際費より、税務上は取り扱いが厳しくなります。例えば、100万円を渡したが、支払の相手先を明かせないという場合や、100万円を使って接待をしたが、相手先を明かせないという場合です。
前者を使途秘匿金といい、後者を費途不明金といいます。
使途秘匿金とは、支払いの相手を税務当局に秘匿する支出です。
使途秘匿金については、税法上厳しい扱いがされます。
損金として認められないことに加え、更に罰則として使途秘匿金に40%を乗じて計算した金額が追加課税されます。
つまり、使途秘匿金には二重に税金が掛かるようなものです。
赤字決算で、通常の法人税が発生しない場合でも、この使途秘匿金への追加課税は生じます。
後者の費途不明金とは、交際費等の名義をもって支出した金銭で、費途で明かでないものを言います。
費途不明金は、交際費の損金算入の枠に余裕があっても、その全額を損金にできません。

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