従業員持株会による自社株の株価対策

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政治経済学部卒、公認会計士・税理士。

後継者が、自社株式を贈与されたとき、あるいは、相続したときの評価額は、ほとんどの場合は、[原則的評価方式による評価額×株式数]となります。
したがって、取得する株式数が減れば、比例的に、負担する贈与税あるいは相続税は減少します。
仮に評価額が300万円で100株式が発行されており、すべての株式を社長が所有しているとしましょう。社長のもつ自社株の評価額は次式のようになります。
自社株式の評価額=300万円×100株=3億円

仮にオーナーの所有する株数を20株減らすことができれば、6,000万円も評価額を引き下げることができます。
しかし、株式を第三者に譲渡すれば経営に介入されるおそれがあります。
そこで、よく利用されるのが従業員持株会です。
従業員持株会を設立して株式を所有させれば、経営の介入を恐れることなく、自社株式の評価額を下げることができます。

従業員持株会とは?

従業員持株会とは、従業員の福利厚生のために設けられた民法上の組合です。
従業員は、株式を購入するために持株会に拠出金を出し、持株会が自社株を購入します。
多くの場合は、数パーセントの奨励金が拠出金に加算されます。
奨励金や株式の配当金が受けられるのが、従業員にとってのメリットです。

従業員持株会のメリット

オーナーが従業員持株会に株式を譲渡する場合には、例外的評価方法である配当還元価額で譲渡することができますので、株式譲渡益は零か、あるいは、発生しても少額です。
従業員は民法上の組合を通じて自社株式を取得しています。直接的に所有しているわけではありません。
従業員持株会からの自社株の持ち出しは、規約で禁止できます。
従業員が退職するときも、従業員持株会の規約で、自社株式を持株会へ譲渡するように規定できるので、株式が第三者に分散する恐れはありません。持株会が買い取るときの株価も、規約で配当還元方式に定めることができるので、安く買い戻すことができます。
また、持株会の理事には通常、会社の経営陣と意思疎通している従業員が選ばれるので、経営に介入されることもありません。
従業員持株会にもたせた株式は、非上場である限り、第三者への分散の恐れもなければ、買い戻す際に高値を要求されることもありませんし、議決権を濫用される恐れもないのです。
教科書では、議決制限株式を発行するべきであるとよく説かれていますが、実務上は、従業員持株会は、会社の総務が運営しているので、反乱を起こされる可能性はありませんので、そこまでやる必要はないでしょう。

従業員持株会

従業員の加入を促進するために、従業員持株会が取得する株式は、配当優先株式にすることを考慮するべきです。奨励金や配当などの魅力がないと従業員の加入率が下がってしまい、持株会の維持が難しくなることがあるからです。
また、従業員持株会に実体がないと判断されると租税回避行為と認定される可能性がありますので、注意が必要です。規約どおりに適正に運営しなければなりません。

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