工藤聡生
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政治経済学部卒、公認会計士・税理士。
月次決算書なんていらない?
経営者のなかには、決算書に無関心のかたが少なくありません。
無関心の理由はさまざまです。
見てもよくわからないと苦手意識をもっている人もいれば、黒字で税金が少なければそれでいいと考えている人もいます。
本決算にほとんど関心を持たないかたは、月次決算になるとさらに関心がしぼみます。
月次決算なんかいらないと思っておられるかたもいます。
売上ばかり気にして、月次決算が示す経営実態に関心を払わない社長はたくさんいます。
ただ、そういう社長の会社はだいたい赤字です。
経営は想定どおりにはいきません。
競争の激化により、実態は変化し、想定は裏切られます。
経費は想定よりも高く、粗利は想定よりも低くなります。
利益を確保したければ、変わり続ける経営実態を把握し、売上目標を設定しなおす必要があります。
間違った想定のままで経営をしていても、利益は確保できません。
1,000万円の売上がなければ会社が黒字にならないのに、社長が、『売上が900万円でも大丈夫だ』と思っていたら、会社は絶対に儲かりません。
月次決算は、想定の誤りを正してくれます。
常に変化する経営実態を明らかにし、正しい売上目標を教えてくれるのです。
月次決算が教えてくれるのは、売上目標だけではありません。
想定は、資金繰りでも裏切られます。
在庫は思ったよりも膨らみ、売掛金の回収は想定よりも遅れるといったことは日常茶飯事です。
想定よりも資金は減ってしまうのです。
競争の激化により、運転資金に投入される資金量は、絶え間なく変化し、想定を裏切ります。
月次決算により、変化する運転資金の流れをつかみ、銀行との融資折衝をはやめはやめに実行しなければなりません。
『想定どおり』という言葉で一世を風靡した経営者がいます。
かれは粉飾決算で実刑判決をうけて服役しました。
実刑判決は、想定どおりだったのでしょうか?
そもそも人の認識力や想像力なんてたかが知れています。
諸行無常の経営環境で自分の想定がいつまでも正しいだろうと奢った考えをする経営者は、長くはもちません。
経営者は、生き残るためには、正しい目標を設定しなければなりません。
そのためには実態の変化に合わせて目標も変えていかなければなりません。
月次決算は、諸行無常の経営環境で、変化し続ける実態を手遅れになる前に教えてくれるのです。
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